入金管理について

企業では、商品やサービスを販売することにより利益を出し、ビジネスを回転させています。そのため、入金を管理することは、企業にとってとても重要な業務だといえます。販売した商品やサービスの代金を請求して、入金を確認する入金管理。表計算ソフトなどを使って入金管理をおこなっている企業もまだまだ少なくありませんが、入金管理アプリや入金管理システムなどの選択肢も増えてきています。この記事では、入金管理について詳しくご紹介します。

入金管理の定義

入金管理とは、企業にとって大変重要な、販売した商品やサービスの対価としてお金を請求し、確実に入金されたかどうか管理する業務のことです。シンプルな業務ではありますが、取引先はひとつではありませんので、それぞれチェックする必要があります。どの取引先から入金があり、それが請求した額と一致しているかどうかなどを確認します。主に確認すべきは、入金日、振込名義、振込額、案件名です。

入金管理表

すべて一括で請求する場合は、案件名は特に関係がないかもしれませんが、案件別に請求している場合は、これをすべて確認しなければなりません。案件別に入金を管理する場合は、入金管理表を利用するとよいでしょう。入金管理表は、フリーで使用可能なテンプレートがネットに数多く公開されています。

入金が確認できない場合

入金が確認できない場合は、その取引先に入金の催促をおこないます。催促の方法は都合のよいもので構いませんが、一般的には電話かメールでおこなうことになるでしょう。このような場合、催促が遅れてしまうと支払に難色を示す企業も存在するので注意が必要です。また、企業間の信頼関係を損なうおそれがあるので、入金確認にはかならず漏れがないかどうかチェックしてから催促しましょう。

入金消込

入金の確認がとれたら、その分を帳簿から消さなければなりません。これが入金消込の作業です。これを怠ってしまうと、次の請求のときにも売掛金として残ってしまい、大変なことになります。人的ミスは絶対に避けなければなりません。仕分けは、「借方に売掛金」「貸方に売上」です。入金があったら、借方は「預金」、貸方は「売掛金」になります。

入金管理で注意すべきこと

入金を管理するに当たり、注意すべきことや、重要なことをご説明します。

誤入金

請求した額とは異なる金額が振り込まれることを誤入金といいます。誤入金があった場合は、すぐに対応する必要があります。ただし、取引先との関係を見て、対応の方法は調整しても構いません。
・お得意先の場合
定期的に取引のあるお得意先の場合は、もしも請求額よりも多く入金されているのであれば、次回請求において相殺する旨をすぐに連絡しましょう。取引回数自体が多いので、返金するよりも相殺したほうが手間が省けてお互いにとってよいでしょう。
請求額よりも少なく振り込まれている場合も、次回請求に繰り越して請求する旨、すぐに連絡しましょう。
・あまり取引の多くない取引先の場合
それほど頻繁に取引のない取引先の場合は、もしも請求額よりも多く入金されているのであれば、「振込手数料を差し引いたうえで返金」する旨をすぐに連絡しましょう。請求額よりも少なく入金されている場合は、不足分の振込をお願いしましょう。

表計算ソフトやシステムで入金管理

入金管理は、シンプルな作業ではあるものの、取引先の数が多く、また、案件数が多いとなかなか手間のかかる作業になります。紙の帳簿でも管理は可能ですが、現在は便利なテンプレートやシステムがあるので、これらを利用するほうが業務の効率化につなげられるでしょう。入金管理には、主にMS Excelや専用のシステムを使用します。

MS Excelを入金管理に使用する

MS Excelを入金管理で使用する場合は、ネット上に公開されているテンプレートを利用するのがかんたんで便利です。無料のものも数多く公開されているので、自社のスタイルに合うテンプレートを選んで導入するとよいでしょう。
MS Excelで入金管理する場合は、コンピュータの常で、かならずデータを定期的にバックアップしましょう。最近のMS Excelはフリーズしてしまった場合でもリカバーしてくれることが多いのですが、トラブルの場合はデータが失われてしまう可能性もあるので、やはり定期的なバックアップは欠かさずにおこないましょう。
多くのテンプレートは、入金管理の際にMS Excelの関数機能などを活用するようデザインされているので、紙の帳簿よりも格段に管理は楽になります。
テンプレートで主に使用されるMS Excel関数には「SUM」や「SUMIF」「VLOOKUP」などがあります。MS Excelが得意だという方なら、自社で使う項目などに合わせてカスタマイズしてもよいでしょう。
入金管理は、毎日おこなわなければなりませんが、MS Excelのテンプレートを導入したとしても、かなりの手間になります。口座とにらめっこしながらの作業になるので、取引先の件数が数十件程度なら問題ないかもしれませんが、100件以上あるようだと、管理が大変になり、ミスも増えてくる可能性があります。取引規模がある程度大きい企業の場合は、入金管理システムの導入を検討しましょう。

入金管理システム

入金管理システムは、紙の帳簿やMS Excelでは扱いきれない規模の入金管理をおこなう場合に欠かせない高度なシステムです。紙の帳簿やMS Excelでは、人的な作業の割合がどうしても多くなり、ミスにつながる可能性も高くなります。入金管理システム導入するにはもちろんお金がかかりますが、自動化が可能な部分も多いため、人的ミスが起こることを防げます。
・2つの形態がある入金管理システム
入金管理システムには、社内に設置するオンプレミス型のシステムと、社外のクラウドネットワーク上に設置するクラウド型のシステムがあります。どちらの形態にもメリットとデメリットがありますので、それぞれの特徴をここでご説明します。
オンプレミス型の入金管理システムは、社内にサーバやハードウェア、ソフトウェアをすべて用意してシステムを構築します。システムが社内にあるため、セキュリティは厳重ですが、自前ですべてそろえなければならないため、導入コストはかさみます。100万円単位のお金がかかることもめずらしくありません。規模の大きい企業で、コストに関する障壁もなく、セキュリティを最重要視するのであれば、オンプレミス型の導入を考えるとよいでしょう。オンプレミス型は、一般的にカスタマイズ性も高いので、大企業にはぴったりです。
クラウド型の入金管理システムは、システムがクラウド上にあり、インターネットを経由してシステムにアクセスします。クラウドにアクセスするだけでサービスを利用できるので、基本的に必要になるのはインターネットに接続できる環境とコンピュータだけです。ほかには特に何も必要ないので、初期の導入費用はかかっても数万円程度です。メンテナンスもサービスを提供する側がおこなうため、システム専任のスタッフを雇う必要もありません。使うと決断したら、今すぐにでも使えるのがクラウド型の入金管理システムです。
最近、利用が広がってきているこのクラウド型の入金管理システム。クラウド型のシステムは、社内にシステムを置かない、インターネット経由のアウトソーシングサービスです。クラウド型のシステムを使うと、入金管理を含む経理の仕事をクラウドでおこなえます。これはすなわち、どこからでもシステムにアクセスできるということです。システムによってはFBデータと連携することが可能なので、面倒な売掛を消し込む作業も効率よく終わらせることができます。ちなみにFBデータとは、Firm Bankingデータのことで、給料や売掛金の振り込みなどをまとめておこなう際に使えます。FBデータは、銀行が共通で使用しているフォーマットデータです。クラウド型のシステムを導入することにより、売掛金の回収や、未入金の場合の対応なども効率的におこなえるようになります。
ただし、提供されるサービスはシステムにより異なるので、自社ビジネスに合ったシステムを選ばないと入金管理を効率化することができません。特に、既存の会計ソフトや顧客管理ソフトとの互換性は重要です。

入金管理システム導入で期待できるメリット

入金管理システムを導入することで期待できるメリットについてご紹介します。

人的ミスが少なくなる

紙の帳簿やMS Excelでの入金管理は、どうしても件数が増えてくるとチェックミスなどの人的ミスが増えてしまいます。入金管理システムの導入は、人的ミスを減らすための強力な解決策です。

入金を含む債権をまとめて管理

入金管理で面倒なのは、取引先により締め日や入金日が異なるため管理が難しいことです。システムを導入することで、売掛金の入金をまとめて管理することが可能です。

売掛金の回収効率を向上可能

紙の帳簿やMS Excelで入金を管理する場合、未回収の売掛金を細かくチェックしなければなりません。システムを導入すると、条件を設定するだけで未回収の売掛金をすぐに確認可能です。

請求書や督促状の作成にも使える

入金管理システムでは、請求書や督促状をかんたんに作成可能です。

社内のシステム統合がやりやすくなる

ある程度の規模の企業になると、支社や部署により異なるシステムを使っている場合があります。こうなると、社内でのデータのやり取りに支障をきたしてしまいます。新しくシステムを導入する際は、社内のシステムを統合すると、業務を劇的に、効率よく変えられるでしょう。

まとめ

入金管理についてご紹介してきました。入金管理は、システムを導入することで大幅に効率化することが可能です。それほど取引先が多くないようであれば、MS Excel用のテンプレート程度でも作業は可能ですが、取引先の数が100件を超えてくるとなかなか大変です。人的なミスが増えてしまう危険性もあるので、入金管理システムの導入を検討してみましょう。